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歯周病

Perio

おそらく一度は「歯周病」という言葉を耳にされたことがあるでしょう。歯周病は成人の約8割が罹患しているといわれ、進行すると大切な歯を失う怖い病気です。ご自身のお口の状況をしっかりと知り、手遅れになる前にお口の健康を取り戻しませんか。

歯周病チェック

歯周病チェック

成人のほとんどが歯周病です

「私は大丈夫」と歯周病を軽く考えていませんか。厚生労働省の発表によれば、45歳以上の過半数が、4mm以上の深い歯周ポケットを保有しているそうです。「4mm以上の歯周ポケット」とは、中度の歯周病にあたり、放置すると歯のぐらつきや口臭につながります。35歳から44歳でもその割合は4割を超えており、成人のほとんどが歯周病を抱えているといっても過言ではないでしょう。

※出典:「厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html

なぜ歯周病になる?

歯磨きが不十分で磨き残しがあるとプラーク(歯垢)がつきます。そうすると歯茎に炎症が起こり、さらに進行すると細菌が出す毒素によって、歯を支えている骨が溶けて、最終的に歯が抜けてしまいます。歯周病は歯を失う1番大きな原因です。特に中年期以降は、加齢によって歯茎が痩せ、免疫力も下がるので歯周病にかかりやすくなります。また、噛み合わせも歯周病の原因になることがあります。特定の部分に噛み合わせの力が強くかかり続けると、歯を支える骨が吸収してしまうことにつながります。

放置すると歯周病は
進行します

  • 健康な歯茎

    健康な歯茎

    きれいなピンク色で歯に沿った形をしています。また、指で押しても違和感や痛みがなく、引き締まった歯茎です。

  • 歯肉炎(軽度)

    歯肉炎(軽度)

    歯にプラーク(歯垢)が溜まると炎症が起こり、歯茎が赤みを帯びて腫れてきます。歯磨きの時に出血することもありますが、炎症は歯茎に限られているので、しっかり歯磨きをすると治るケースがあります。

  • 中度の歯周病

    中度の歯周病

    歯茎の炎症がひどくなり、歯周ポケットが4mm以上になります。歯周ポケットの中に汚れが溜まりやすくなるため、歯を支えている骨(歯槽骨)や歯根膜にも細菌が入り込んで炎症が広がります。

  • 重度の歯周病

    重度の歯周病

    炎症が広がり、歯周ポケットが6mm以上になります。歯槽骨の破壊が進み、歯がぐらついてきて、最悪の場合は抜歯が必要に。炎症部分から膿が出て、口臭の原因になるケースがあります。

歯周病が影響している
全身疾患

歯周病が進行すると歯周病原菌の数も増えてきます。その細菌が血管を通して全身に運ばれると、全身へ影響を起こします。

  • 糖尿病

    細菌が血液を通って全身に運ばれると、インスリンの働きを阻害し、血糖値が下がらなくなります。また、糖尿病で血糖値のコントロールがよくないと、免疫力低下して口腔内の細菌が増殖しやすくなるので、感染症の1つである歯周病に悪影響を与えます。

  • 心疾患・脳卒中

    歯周病菌によってできた炎症性サイトカインなどが、動脈内膜に侵入して動脈硬化を悪化させる可能性があります。

  • 誤嚥性(ごえんせい)肺炎

    お口の中に細菌が多いと、誤嚥した時に肺に入って誤嚥性肺炎を引き起こします。特に免疫力が下がっているご高齢者は、歯周病菌の影響が全身に広がりやすいので注意が必要です。

  • 早産・低体重児出産

    妊婦の方が歯周病になると子宮収縮を促すホルモンが増加するほか、細菌が血液から胎盤に影響するといわれています。

歯周病の治療とは

Treatment 01 歯磨き指導

Treatment 01歯磨き指導

歯周病を治すためには何よりも患者様ご自身での歯磨きが大切です。豊富な知識と経験がある歯科衛生士が、患者様それぞれの口腔内や生活環境に合わせた歯磨き方法をご指導いたしますので必ず実践してください。ご不明な点がありましたらお気軽にご質問ください。

Treatment 02 歯石除去

Treatment 02歯石除去

歯周病の原因となる歯石を超音波で取り除いたり、専門の器具を使って除去します。縁下歯石(歯茎の中にある歯石)は、先の鋭い器具を使って的確に除去していきます。

Treatment 03 歯周外科治療

Treatment 03歯周外科治療

重度の歯周病の場合や、歯茎の中に入り込んでいる歯石をとっても改善が見られない場合は、歯茎を切開し、深い歯周ポケットに残っているプラーク(歯垢)や歯石を直接目で確認して除去します。

Treatment 04 GBR

Treatment 04GBR

通常、歯周病によって溶かされた骨は再生しませんが、特殊な膜を骨の吸収した部分に貼り付けることで骨の再生を促進させることができます。この膜は自然に体の中に吸収されてゆくもので、他にも症例にあった様々な治療法があります。

歯周病を予防するために

歯周病を予防するために

歯周病といっても、患者様によって症状はさまざまです。お口の中の状況や生活習慣、さらには全身疾患などすべてが関係してきます。まだ歯肉炎の段階ならばご自身の歯磨きで改善できますが、進行後は歯科医院で歯石を取らなければ解決しません。

そして、歯周病の治療は患者様、歯科医師、歯科衛生士が一丸となって取り組むことが必要です。1番大切なのは日々の歯磨きですが、治療後も再発しないように歯科衛生士による定期検診をご案内しています。歯周病は体の健康にも影響しますので、お口のお悩みがあればぜひご相談ください。

記事監修者:歯科医師 上妻勝美

鹿児島大学歯学部卒業。現在、医療法人健勝会の理事長として、鹿児島市内に4つの歯科医院を開設。口腔インプラント学会・日本審美歯科学会に所属し、ローズ歯科医院では、こだわりぬいた審美歯科治療を中心に診療をおこなう。また、歯科医師臨床研修指導医としても歯科医師の人材育成にも注力。